3年連続「餃子購入額日本一」の浜松市(浜松市:上巻)

3年連続「餃子購入額日本一」の浜松市(浜松市:上巻)

東京餃子通信編集長の塚田です。今回の「塚田編集長の日本餃子巡礼」は、前回までの宮崎餃子に続いて、静岡県浜松市の浜松餃子について深堀りしていきたいと思います。
 

3年連続「餃子購入額日本一」の浜松市

浜松と聞いて、皆さんは何をイメージしますか?うなぎ、楽器、オートバイ、浜名湖などを思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、餃子好きにとって浜松は外すことのできない「餃子の町」です。
総務省家計調査によると2023年から2025年まで、3年連続で餃子購入額が全国1位でした。2025年の年間支出は浜松市が4,046円、2位の宇都宮市が3,575円と、餃子の町として有名な宇都宮を大きく引き離しています。また、浜松市内には現在、専門店だけでも約80軒、餃子を扱う飲食店や持ち帰り専門店まで含めると300店以上あるともいわれていて、餃子文化が市民の生活に浸透しているのが分かります。
浜松に餃子文化が根付くきっかけは、戦後の復興期にありました。中国からの復員兵や引揚者が、中国で覚えた餃子を闇市で販売し、商売を始めたといわれています。浜松やその周辺の地域はキャベツや玉ねぎの産地として有名ですが、当時からこれらの野菜が盛んに作られていたそうです。また浜松は戦前から養豚業も盛んな町でした。当時、比較的容易に入手できる食材で商売ができたことも、浜松に餃子が根付いた一因となったと考えられます。
2005年に浜松餃子学会が設立され、浜松餃子マップの制作を通じて浜松餃子のPR活動を積極的に行ってきました。その結果、全国的にも「餃子の町」としての認知が広がっています。
  • 3年連続「餃子購入額日本一」の浜松市
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浜松市は、2007年4月に全国で16番目の政令指定都市へ移行。面積は全国の市町村で第2位の広さを誇り、静岡県内で最多の人口(約79万人)を有しています。
 

持ち帰り文化とキャベツたっぷり餃子

浜松餃子について紹介する上で、まず触れておきたいのが「持ち帰り文化」です。浜松では、餃子はお店で食べる料理であると同時に、家に買って帰って食卓に並べる料理としても親しまれています。市内を車で走っていると餃子の持ち帰り専門店が点在していることに気付きます。中には「餃子の砂子」の様に車から降りずに餃子を受け取れるドライブスルー店も存在します。また、餃子の人気店で餃子を食べていると、持ち帰り餃子の予約の電話や、受け取りのお客さんに頻繁に遭遇します。浜松市民にとって餃子が日常の食事として根付いていることがよく分かります。
浜松餃子に共通しているのは、キャベツをたっぷり使うことです。キャベツの甘みを生かした、軽くて食べやすい餡。そこに豚肉のコクが加わることで、あっさりしているのに物足りなさはありません。ここで興味深いのが、キャベツ中心の餃子でありながら、お店ごとにそれぞれの味の特徴があるということです。キャベツの切り方や絞り方、香味野菜や調味料の配分など、実際に食べ比べるとその差が分かると思います。浜松の方に餃子の話を聞くと「うちは昔からあの店」「持ち帰りならここ」と、それぞれに贔屓のお店について話してくれるのも印象的です。
さらに浜松餃子の特徴として広く知られているのが、フライパンに餃子を丸く並べて焼くスタイルと中央に添えられた茹でもやしです。老舗餃子専門店「石松餃子」が創業時に屋台で餃子を焼いていた際に始めた焼き方で、浜松市内ではこれに影響を受けた餃子店によく出会います。ただし、地元で愛されている餃子店の中にも、このスタイルに当てはまらないお店も多数存在しています。
  • 餃子の砂子
  • 浜松餃子
車から降りずに餃子を受け取れるドライブスルー店とフライパンに円形に並べて焼かれ、中央に「茹でもやし」が添えられる餃子。
 

車盛り餃子のもやし添えを生んだ「石松餃子」

浜松の餃子文化に多大な影響を与えたとされているのが昭和28年創業の「石松餃子」です。創業時は、旧浜松駅前の小さな屋台でした。たくさんのお客さんに餃子を出すために、できるだけ多くの餃子を焼くという工夫をしたことから、フライパンに餃子を車輪のように丸く並べる「車盛り」焼きのスタイルに行き着いたそうです。
また「車盛り」で餃子を皿に盛り付けたときにできる真ん中のスペースに添え物を置くことを始めたのも「石松餃子」の創業者だと言われています。炒めたキャベツや茹でたほうれん草などいろいろと試した結果、焼き餃子を食べて油っこくなった口の中をさっぱりできるということで口直しの茹でもやしが採用されました。
パリッと美しい色に焼かれた餃子は、キャベツが多めかつニンニク控えめでさっぱりした味付けです。茹でもやしの効果もあって、いくつでも食べられてしまいそう。餃子の20個入りと25個入りの餃子は「車盛り」で提供されるので、石松に行ったら20個以上注文するのがおすすめです。
石松餃子は、現在は浜北エリアに本店を構え、地元のみならず全国各地からの多くのお客さんで連日賑わっています。浜松駅の駅ビルや新東名のサービスエリアに支店を構えたり、通信販売にも力を入れたりしているので、浜松餃子に興味を持った方はぜひ食べてみてください。
  • 浜松餃子
  • 浜松餃子
車盛り餃子のもやし添えを生んだ「石松餃子」
 
浜松餃子は、現地を訪れて何店か食べ比べをすると、お店ごとの特徴が分かって楽しいはずです。ぜひ現地にも足を運んでみてくださいね。

  • 石松餃子本店
浜松餃子特設サイト
●公式サイト:
https://www.hamamatsu-gyoza.jp/

店舗情報
●店名:石松餃子本店

●所在地:〒434-0041 静岡県浜松市浜名区平口252-1
●電話番号:053-586-8522
●公式サイト:
https://1402.jp/shop/honten.html

塚田 亮一(「東京餃子通信」の編集長)
2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」編集長。
「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。
これまで食べ歩いた餃子店の数は3,000店以上。
長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。また、趣味のマラソンを活かし、餃子専門店を走って巡る「餃子マラニック」を主催。
作って、食べて、走れる、餃界のオールラウンダー。(「食べあるキング」より引用)