地元中国の食文化に出会える「味坊集団」(前編)
餃子専門サイト「東京餃子通信」の編集長の塚田亮一です。
今回の「プロに学ぶ餃子を美味しく作る秘訣」は、中国東北料理を始めとする「ガチ中華」の専門店を都内を中心に展開する「味坊集団」代表の梁宝璋さんと専務取締役の林強さんに、東北地方の餃子では欠かせない「酸菜」の作り方を教えてもらいました。
1号店の「神田味坊」と「老酒舗」(味坊集団の店舗)
地元中国の食文化に出会える味坊集団
中国の東北地方の出身の梁さんが神田で「味坊」をオープンしたのが2000年1月。当時、日本人の好みに合わせてアレンジされた中国料理店が主流だった中、東北地方の「現地そのまま」の料理を提供する「ガチ中華」先駆け的なお店として「味坊」はスタートしました。
オフィス街の神田という土地柄、中国出張から帰国したビジネスマンなど本場の味を知る人たちの間で徐々に話題となりました。さらにナチュラルワインのソムリエ・勝山晋作さんの「中華のラム肉料理×自然派ワイン」という新たな提案から味坊ファンが一気に増加。「味坊」では開店当初から東北地方のラム肉料理を提供していて、ラム肉の水餃子も人気メニューだったそうです。
近年は、梁さんの「中国各地の食文化をもっと広めたい」という想いから、東北地方の鉄鍋料理の「味坊鉄鍋荘」、湖南料理の「香辣里」、北京の大衆酒場風の「老酒舗」など店舗を拡大。現在では、「元祖ガチ中華の伝道師」として、中国各地の料理を提供する個性的なお店15店舗と通販サイトを展開しています。
「味坊集団」代表の梁宝璋さん
「味坊集団」専務取締役の林強さん
旬の食材を活かした「シン餃子」
「日本の餃子はとても美味しいけど、使われる具材が、豚ひき肉、キャベツ、ニラ、ニンニクとワンパターンなのがもったいないと感じました。」と梁さんは言います。一方中国では、三鮮餃子のような定番こそあるものの、地域や季節によって実にさまざまな餃子が作られているとのこと。たとえば雲南省ではキノコをたっぷり使った餃子、東北地方では羊肉と酸菜(白菜の漬物)の餃子、大連ではその時期においしい旬の海鮮を使った餃子など、土地ごとの食材をいかした餃子文化が根付いているそうです。
日本にも全国各地に魅力的な旬の食材がたくさんあるので、そうした素材を餃子に取り入れていけば、餃子の楽しみ方はもっと広がるはずですよね。人形町の「商館味坊」は「シン(旬)餃子」のコンセプトで、旬を楽しむ日本と中国が融合した新しい季節餃子の提供も行っています。
まさにその発想から、人形町の「商館味坊」では「シン(旬)餃子」というコンセプトを掲げ、季節の餃子を提供しています。さらには、味坊集団では自社農園も運営しており、有機農法で年間40種類以上の野菜を栽培し、各店舗で旬の食材を使った料理を提供しています。日本ではあまり流通していない茴香(フェンネル)や葉ニンニクといった野菜も育てていて、これらを具材にした餃子もまた格別のおいしさです。
味坊集団の自社農園の白菜と長ねぎ
中国東北地方の冬の保存食「酸菜」
梁さんの故郷・チチハルでは、野菜が収穫できるのはだいたい9月末ごろまで。真冬にはマイナス30度になることも珍しくありません。梁さんが子供の頃は、冬の間、新鮮な野菜を手に入れることが難しかったため、春までの保存食として白菜の漬物「酸菜」を各家庭で大量に仕込んでいたそうです。「酸菜」は、餃子の具材として使うのはもちろん、土鍋料理や炒め物など、何にでも使えるとても便利な食材です。
梁さん「酸菜は、日本のご家庭でも簡単に作ることができますよ。」と言い酸菜の作り方を教えてくれました。
まず白菜をやや太めのせん切りにします(幅1~2cmくらいのイメージ)。そこに白菜の重さに対して4~5%ほどの塩を加え、よく混ぜたら、上からぎゅっと押し込むようにして水分をしぼり出します。1時間ほどおくと白菜がしんなりしてくるので、さらに強く絞って白菜の中の水を絞り切ってから瓶やペットボトルに詰めます。白菜の上から、白菜をしぼったときに出た塩水も一緒に注ぎ入れ、白菜が直接空気に触れないようにするのがポイントなのだそうです。
日本の11月ごろの気温であれば、常温で1カ月ほど置いておくと、ほどよく発酵しておいしい酸菜が完成します。
中国東北地方の冬の保存食「酸菜」の作り方を紹介してくれる梁さん
後編では、この酸菜を使った餃子をはじめ、旬の食材を活かした味坊集団の「シン餃子」の作り方を、詳しく教えてもらいます。
味坊集団紹介リンク集
◆味坊集団公式サイト
◆店舗一覧はこちらから
◆通販ショップはこちらから
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塚田 亮一(「東京餃子通信」の編集長)
2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」編集長。
「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。
これまで食べ歩いた餃子店の数は3,000店以上。
長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。また、趣味のマラソンを活かし、餃子専門店を走って巡る「餃子マラニック」を主催。
作って、食べて、走れる、餃界のオールラウンダー。(「食べあるキング」より引用)











