元フレンチシェフが腕を振るう餃子専門店「餃子専門 丸虎 MARCO」(前編)

元フレンチシェフが腕を振るう餃子専門店「餃子専門 丸虎 MARCO」(前編)

餃子専門サイト「東京餃子通信」の編集長の塚田亮一です。
今回の「プロに学ぶ餃子を美味しく作る秘訣」は、元フレンチシェフの餃子職人さんに餃子作りのテクニックとアレンジ餃子について教えてもらいます。
ご家庭で餃子を作るときはいつも同じレシピで作ることが多いと思いますが、本来餃子は材料や包み方、調理方法など自由な発想でバラエティ豊かに楽しめる料理です。
餃子の様々なアレンジ方法を習ってきましたので、是非ご自宅でもお試しください。

元フレンチシェフが腕を振るう餃子専門店「丸虎」

2018年にJR北浦和駅前にオープンして以来、地元客だけにとどまらず遠方からも餃子ファンが押し寄せる餃子専門店「丸虎 MARCO」。オーナーの吉田大介さんは、グランドハイアットでフレンチやイタリアンのシェフとして活躍し料理長も務めていたという異色の経験をもつ餃子職人さんです。
高級な「美味しい」よりも、お客さんからの「旨い」を求めて未経験の餃子専門店にチャレンジ。「餃子の可能性は無限大である」をモットーにフレンチ等の洋食の経験を活かして中華の域にとどまらない様々なアレンジ餃子を考案し、焼餃子系、水餃子・炊き餃子系、アレンジ餃子とその数は100を超えています。季節限定餃子などもあり、何回訪れても新しい発見があるのが「丸虎」の魅力です。
吉田オーナー(左)と大枝店長(右)
北浦和駅前に店を構える「丸虎」 / アレンジ餃子メニューは100を超える

基本の「丸虎餃子」にもフレンチの技術

アレンジ餃子の前にアレンジのベースとなる基本の丸虎餃子の作り方を教えてもらいました。食材には群馬県のブランド豚上州せせらぎポークの肩ロースをメインに使い、バラ肉やカシラもブレンドしたものを採用。キャベツは細かく刻んでから水気を絞り、ニラと玉ねぎを足しています。調味料は醤油やおろし生姜など。醤油は桶川の坂巻醤油店の天然醸造の丸大豆醤油を使っています。「いろいろな醤油を試したのですが坂巻醤油店の醤油は旨味が群を抜いていました」と吉田さん。
これらの肉から順番に丁寧に練り込んでいきます。練り具合を確認しながら、調味料を足していきます。途中で卵を加えるのもポイントです。最後にごま油をたっぷり入れて風味付け。その後に野菜を入れて満遍なく餡を混ぜます。「この餡の作り方はフレンチのテリーヌ作りの技術を応用したもので、肉汁を肉の中にギュッと閉じ込められます。」と餡の仕込みを担当する店長の大枝さんが解説してくれました。この餡を厚めでよく伸びる皮を使ってたっぷり包み込んで完成です。

上州せせらぎポークのひき肉 / キャベツは細かく水分を絞ってから使う
味の決め手はこだわりの醤油とお酢 / 餡を練る途中で卵を入れるのがポイント
完成した餃子餡
良質な皮で餡をたっぷり包み込む

焼餃子は美しい羽根つき、食べ方でもアレンジ

丸虎の餃子は美しい羽根をまとっているのですが、この羽根の付け方も教えていただきました。ポイントは水溶き小麦粉の配分と油の量とのこと。水200ccに対して小麦粉5gの比率で、使う量はフライパンの大きさと餃子の量によって調整が必要になります。油をやや多めにフライパンに引いて餃子を蒸し焼きにするタイミングで水溶き小麦を投入すれば焼き上がりのタイミングで網目状の美しい羽根が付きます。少し焼き色の薄いタイミングでお皿に上げるのも重要なポイントです。フライパンから外しても、羽根についた油で焼き加減が少し進むのだとか。更に丸虎では水溶き小麦粉を作る際にブイヨンを足していて、これによって羽根の風味が一段レベルアップするそうです。見えないところで工夫をされていて驚きました。
食べ方も常識の枠に収まらないのが丸虎の魅力です。焼き餃子には豚肉の旨味がギュッと詰まっているのでそのまま食べても美味しいのですが、タレにもアレンジがされています。酢醤油ではなくりんご酢と蜂蜜とトマトを使った甘酢ソースが用意されています。酸味と甘みが餃子の美味しさを引き立ててくれます。
更に巻き餃子という餃子の食べ方もあるんです。サラダ用のサニーレタスで餃子をくるっと巻いて、山葵マヨネーズや食べる辣油をつけて食べるのが巻き餃子。シャキシャキとしたレタスの食感と熱々の餃子の組み合わせが新感覚。焼肉やサムギョプサルをサンチュに巻いて食べるのに近いかもしれないですね。
羽根の焼き色が薄めのうちにお皿に上げる / 網目状の美しい羽根をまとった焼餃子
丸虎特製の甘酢ソースで!
巻き餃子用サラダと食べるラー油か山葵マヨネーズ / シャキシャキしたサラダとの組み合わせが新感覚
前半では、丸虎餃子に使われている数々の独自のテクニックと餃子の食べ方のアレンジ方法をお伝えしました。後半では、餃子を使った驚きのアレンジメニューをご紹介したいと思いますのでご期待ください。

店舗情報
●店名:餃子専門
丸虎 MARCO
●所在地:埼玉県さいたま市浦和区北浦和4-6-1 ポピー北浦和A号
●営業時間:
 火~日、祝日、祝前日: 17:00~23:30
 (料理L.O. 22:30 ドリンクL.O. 23:00)
●定休日:月曜日 ※月曜日祝日の場合は翌日
●電話番号:048-829-9715
●公式サイト https://akr1984178425.owst.jp/
関連記事を読む

塚田 亮一(「東京餃子通信」の編集長)
2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」編集長。
「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。
これまで食べ歩いた餃子店の数は3,000店以上。
長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。また、趣味のマラソンを活かし、餃子専門店を走って巡る「餃子マラニック」を主催。
作って、食べて、走れる、餃界のオールラウンダー。(「食べあるキング」より引用)