シンプルだけど味わい深い「横堀餃子」(前編)

シンプルだけど味わい深い「横堀餃子」(前編)

餃子専門サイト「東京餃子通信」の編集長の塚田亮一です。
今回の「プロに学ぶ餃子を美味しく作る秘訣」は、埼玉県三郷市にある餃子の専門店「横堀餃子」の店主の井上直規さん、香織さんご夫婦に、皮と餡にこだわった餃子の作り方について教えていただきました。
井上ご夫妻が、独自に考案した様々な横堀餃子オリジナルの餃子づくりのテクニックをお伝えしたいと思います。


 


「おいしい餃子が食べたい」で始まった横堀餃子

横堀餃子を三郷で始めたのが9年前。当時、飲食店を展開する企業で働いていた直規さんは独立を検討する中で、どんなお店を始めるか食べ歩きなどをしながら考えていたそうです。その中で飲食店で提供される餃子の味付けがニンニクなどのパンチが強いものが多いことに気付き「もっと優しい味の美味しい餃子が食べたい!」との思いから餃子専門店で勝負することを決めたそうです。
「前職ではホール等を担当していたので、料理や餃子作り経験がなく、一から研究するのは大変でした。」と当時を振り返る直規さん。子供の頃にお母さんが作ってくれた餃子の味の記憶を頼りにコツコツと試行錯誤を重ね、皮は粉の配合から0.1m単位の厚さまで調整するため自家製麺機を導入、餡の材料や製法にもこだわり、シンプルだけど味わい深い横堀餃子が誕生しました。
こだわりの餃子は三郷で話題となり、お店は家族連れで食事に来たり常連さんがお仕事帰りに一杯飲みにきたりといつも賑わっています。更には三郷市のふるさと納税の返礼品としても提供を依頼され、今では三郷市を代表する餃子となっています。
  • 店主の井上夫妻
「横堀餃子」店主の井上夫妻
  • 餃子と外装とオリジナルグッズのシール
餃子と外装とオリジナルグッズのシール


 


横堀餃子の味の決め手は秘伝の「オイル」

まず最初に王道の焼餃子である横堀餃子の作り方を教えていただきました。餡の材料は、国産の豚肉のももと腕肉を中粗挽きにしたものと背油を使っています。野菜はキャベツとニラと生姜と超シンプル。キャベツはやや粗めにカットして絞ることはしません。「キャベツを絞っちゃうと美味しさも落ちちゃうのでもったいない。」と直規さん。
横堀餃子の味の決め手は秘伝の「オイル」と呼ばれるオリジナルの合わせ調味料。ごま油、サラダ油、醤油、はちみつ、フライドオニオン、フライドガーリック、塩、コショウなどをブレンドして寝かして作ります。オイルが足りなくなると継ぎ足し継ぎ足しで作っていく、まさに秘伝の調味料です。生ではなく加熱したニンニクを使うことで、ニンニクのきつさもやわらぐ効果もあるそうです。
豚挽肉と背油に塩を足して良く練り粘りが出てきたら料理酒を追加、その後で秘伝のオイルを使って味付けをして一旦寝かせます。野菜に先に味をつけてしまうと中の水分が出てきてしまうので、キャベツ、ニラ、生姜は包む直前に軽く混ぜて餡の完成です。

  • 「オイル」と餃子の餡
「オイル」と餃子の餡


 


小麦と米粉で作るモチモチ食感の自家製皮

皮は国産小麦と米粉を独自配合した粉を使い、水と油と塩と砂糖を入れてタネを作ります。砂糖を入れることによって焼き目がキレイになるのだとか。加水率は、湿度や温度によって調整するものの、概ね40%以下とかなり低めに設定されています。製麺機を使って伸ばして、丸く型抜きをして皮を作ります。ちなみにカレー餃子用の黄色い皮はターメリックを練りこんで着色をしているとのことです。
包み方は香織さんに教えていただきました。伸びの良い皮なので餡をたっぷり包むことができます。横堀餃子は皮に餡をのせて手前からヒダを刻んで餡を包み込んでいました。最後にヒダをギュッとつぶしてキレイな弧を描くようにして完成。
エビ餃子は見た目で分かるようにと、横堀餃子とは異なる包み方をしています。皮に餡を乗せた後、皮を端から真ん中に向かい十字型に寄せていき、両サイドに1つずつヒダをつけて圧着をします。この包み方は簡単かつ底面がしっかりとれるので便利かもしれませんね。
焼きは、専用の鉄板を使って焼きます。火力は基本的に強火。油を引いた鉄板に餃子を並べてしばらくまち餃子の焼き面が白く変色をしてきたら鉄板が適温まで熱せられた合図。熱湯をたっぷり投入して蒸し焼きにします。仕上げはごま油で香りづけをして焼き色が良い感じになったらターナーで丁寧にはがして完成です。
焼きあがった横堀餃子は、モチモチ皮とザクザクとしたキャベツの食感と素材の旨味が印象的で、シンプルな味付けの飽きの来ない正に王道系の焼餃子でした。
  • モチモチ食感の自家製皮
モチモチ食感の自家製皮とカレー餃子用の皮
  • 横堀餃子の包み方
横堀餃子の包み方
  • エビ餃子の包み方
エビ餃子の包み方
  • 焼きあがった横堀餃子
焼きあがった横堀餃子



店舗情報
●店名:横堀餃子

●所在地:〒341-0024 埼玉県三郷市三郷1-6-9
●営業時間:昼の部 11:30~14:00 (店内飲食LO_13:40)
 夜の部 17:00~22:00 (店内飲食LO_21:30)
●定休日:毎週火曜日&第2・第4水曜日
●電話番号:048-934-5662
●公式サイト http://yokoborigyouza.com/
関連記事を読む

  • 塚田 亮一(「東京餃子通信」の編集長)
    2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」編集長。
    「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。
    これまで食べ歩いた餃子店の数は3,000店以上。
    長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。また、趣味のマラソンを活かし、餃子専門店を走って巡る「餃子マラニック」を主催。
    作って、食べて、走れる、餃界のオールラウンダー。(「食べあるキング」より引用)