老舗の「円盤餃子」巡り(福島市:下巻)

老舗の「円盤餃子」巡り(福島市:下巻)

東京餃子通信編集長の塚田です。
前回は、福島の円盤餃子の歴史や手作りへのこだわり、飯坂温泉に根づく餃子文化をご紹介しました。
今回は、それらの味を楽しめる、老舗店を巡りたいと思います。同じ円盤餃子でも、皮や餡、焼き方にはそれぞれの個性があります。一皿ずつじっくり味わいながら、その違いを探ってみましょう。
  • 福島の円盤餃子
  • 福島の円盤餃子
 

福島の円盤餃子の原点を味わえる「満腹」

福島の円盤餃子をご紹介するなら、やはり「満腹」から始めたいと思います。上巻でも少し触れましたが、1953年創業の、円盤餃子の元祖とされるお店です。福島駅東口から徒歩約15分と駅から少し離れていますが、連日行列が絶えず、早々に売り切れてしまうこともあるほどの人気店です。
創業者の菅野かつゑさんは、戦後、満洲から引き揚げ、現地で親しんだ水餃子をもとに、フライパンに丸く並べて一度に焼く「円盤餃子」を考案。作り方を教わりに来る人たちにも技を伝えたことで、福島に円盤餃子が広まっていきました。その原点となる一皿を、ぜひ味わってほしいと思います。
「満腹」の円盤餃子は一皿30個。小ぶりな餃子が大皿にぎっしりと並ぶ姿は壮観です。自家製の皮は、強力粉を手で練り、2日間以上熟成させてから延ばすそうです。焼き面はサクッと軽く、薄い皮にはしなやかな弾力があります。餡の主役は、時間をかけて水気を抜いた白菜菜です。豚肉や長ネギ、少量のニラを合わせ、ふんわりとした口当たりと、野菜と肉の旨みを楽しめます。こうした丁寧な仕込みを経た一つひとつの餃子には、創業者から受け継いだ想いが感じられます。
まずは何もつけずに味わい、途中から専用ダレにラー油やニンニクを加えて食べるのがおすすめです。
味の変化を楽しみながら、福島の餃子文化を育んだ元祖の一皿を堪能してみてください。30個の餃子が、あっという間にお腹の中に消えていくと思いますよ。
  • 元祖円盤餃子 満腹
  • 元祖円盤餃子 満腹
  • 元祖円盤餃子 満腹
  • 元祖円盤餃子 満腹
小ぶりな餃子が円盤状に並ぶ、福島の円盤餃子の原点。サクッと香ばしい焼き面と、野菜の旨みを楽しめます。


 

サクッ、もちっの皮が魅力の「山女」

続いてご紹介するのは、福島駅東口からほど近い「山女」です。2代目店主の高橋豊さんは「ふくしま餃子の会」の初代会長を務め、福島の餃子を地域の名物として広める活動にも尽力してきた方。自店の味を守りながら、福島の街全体の餃子文化を盛り上げてきたお店です。
「山女」の円盤餃子は一皿20個。丸く並んだ餃子は、底面だけでなく側面までこんがりと色づき、揚げ餃子を思わせる仕上がりです。たっぷりの油で香ばしく焼き上げた姿を見るだけでも、気分が上がります。
「山女」の餃子の魅力は、なんといっても皮。注文が入ってから手で延ばす自家製の皮は、やや厚めです。表面はサクッと香ばしく、噛むともちっとした弾力も感じられます。この二つの食感が重なることで、皮そのもののおいしさをしっかりと楽しめます。
餡の主役はキャベツ。ニンニクなどの香味野菜は控えめで、キャベツの甘みと豚肉の旨みが素直に伝わってきます。見た目から想像するよりも味付けはあっさりしていて、存在感のある皮とのバランスが絶妙です。
「山女」では、福島の日本酒と合わせるのもお勧めです。これからの季節は、熱々の餃子を頬張り、素材の旨みを味わいながら熱燗をひと口、という楽しみ方もできちゃいます。餃子に専用ダレをつけると味わいがぐっと力強くなり、ビールとの相性も抜群。福島の餃子文化を支えてきた老舗で、餃子とお酒をゆっくり楽しんでみてください。
  • サクッ、もちっの皮が魅力の「山女」
  • サクッ、もちっの皮が魅力の「山女」
  • サクッ、もちっの皮が魅力の「山女」
  • サクッ、もちっの皮が魅力の「山女」
こんがりと焼き上げた、香ばしい円盤餃子。
サクッとした表面と、もちっと弾力のある自家製の皮が魅力です。


 

湯上がりに楽しめる温泉街の円盤餃子「照井」

最後にご紹介するのは、飯坂温泉の「照井」です。「満腹」と同じ1953年創業で、温泉街とともに歩んできた老舗。上巻でも触れたように、近隣の旅館への出前を通して親しまれ、飯坂の餃子文化を支えてきたお店です。
「照井 飯坂本店」は、飯坂温泉駅から歩いて訪ねられる場所にあります。宿泊先の旅館や共同浴場でひと風呂浴びてから向かうのもお勧め。店先には足湯もあり、餃子を待つ時間にも温泉地らしさを感じられます。
「照井」の円盤餃子は一皿22個。自家製の皮で包んだ餃子を香ばしく揚げ焼きにしていて、食欲をそそられます。皮は薄めでありながら弾力があり、焼き面のパリッとした軽やかさとのコントラストを楽しめます。
餡には細かく刻んだキャベツがたっぷり。頬張ると口の中でほろほろとほどけ、あっさりとした味わいでパクパクと何個でも食べられちゃいます。さらに、味の決め手になるのが、醤油の醸造元に依頼して作る専用ダレです。ここにラー油と一味唐辛子を加えるのがお勧め。タレのコクと旨み、ピリッとした辛みが加わり、餃子のおいしさを引き立ててくれます。
湯上がりの体に冷たいビール、そして焼きたての円盤餃子。飯坂温泉には、この最高の組み合わせが待っています。
  • 飯坂温泉と円盤餃子
  • 飯坂温泉と円盤餃子
  • 飯坂温泉と円盤餃子
  • 飯坂温泉と円盤餃子
  • 飯坂温泉と円盤餃子
パリッと香ばしく焼き上げた円盤餃子。
キャベツの甘みが広がるあっさりとした味わいは、温泉街での食べ歩きにもぴったりです。
 
福島の円盤餃子には、現地を訪ねてこそ出合える味がたくさんあります。ぜひ福島へ足を運び、店ごとの個性を食べ比べてみてください。

  • 元祖円盤餃子 満腹
店舗情報
●店名:元祖円盤餃子 満腹
●所在地:〒960-8105 福島県福島市仲間町1-24
●電話番号:024-521-3787
●公式サイト:
https://manpuku.tkc.best-hp.jp/
 
  • 餃子の店 山女
店舗情報
●店名:餃子の店 山女
●所在地:〒960-8044 福島県福島市早稲町5-23
●電話番号:024-523-1772
●公式サイト:
https://fukushima-gyoza.com/shop/yamame/
 
  • 餃子 照井
店舗情報
●店名:餃子 照井
●所在地:〒960-0201 福島県福島市飯坂町錦町1-21
●電話番号:024-542-4447
●公式サイト:
https://www.gyouza-terui.com/
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  • 塚田 亮一(「東京餃子通信」の編集長)
    2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」編集長。
    「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。
    これまで食べ歩いた餃子店の数は3,000店以上。
    長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。また、趣味のマラソンを活かし、餃子専門店を走って巡る「餃子マラニック」を主催。
    作って、食べて、走れる、餃界のオールラウンダー。(「食べあるキング」より引用)