甘くてミネラル豊富なアフロきゃべつ「Hennery Farm」(前編)
餃子専門サイト「東京餃子通信」の編集長の塚田亮一です。
今回の「プロに学ぶ餃子を美味しく作る秘訣」は、千葉県銚子市で農園「Hennery Farm/(へねりーふぁーむ)」を営む坂尾英彦さんに、餃子には欠かせない食材「キャベツ」について教えていただきました。
「Hennery Farm」坂尾英彦さん
農業の楽しさを伝える「Hennery Farm」
坂尾英彦さんは、江戸時代から続く銚子の農家の12代目で、トレードマークのアフロヘアーが印象的な人物です。銚子の沿岸部に約12,000坪の畑を持ち、冬は温暖で夏は涼しいという気候を活かして、キャベツやトウモロコシの栽培を行っています。
「農業のマイナスなイメージを変え、次世代に誇れる産業にしたい。」という思いから、坂尾さんは「アフロきゃべつ」や「アフロコーン」などをブランド野菜として展開し、消費者や飲食店などに直接販売を行っています。また、廃棄野菜ゼロを目指し、規格外キャベツを使った「アフロきゃべつ餃子」や「アフロきゃべつチップス」といった商品の企画・販売にも積極的に取り組んでいます。
さらに、農業を通じたコミュニティづくりにも力を入れており、アフロのかつらをかぶっての農業体験や、古民家での農泊体験など、さまざまなイベントを開催しています。現在では、地元企業や行政とのコラボレーションも進め、国内外から年間1,000人以上の参加者を受け入れるほどの話題の農場になっています。
(左)銚子電鉄 (右)農家民宿「Farm&stayYAOYA」
甘くてミネラル豊富な「アフロきゃべつ」
「Hennery Farm」がある千葉県銚子市は、実は春キャベツの生産量が日本一を誇る地域です。銚子の沿岸部は、春キャベツが育つ冬の時期に昼夜の寒暖差が大きく、この気温差によってキャベツが甘く育つのだそうです。さらに、三方を海に囲まれているため、海からの風に乗ってミネラル分が運ばれ、土壌が非常に豊かになります。このような環境で育ったキャベツは、一般的なキャベツの約2.5倍のミネラル分を含んでいるといわれています。
また、「Hennery Farm」では、自社のたい肥小屋で鶏ふんとわらを混ぜて発酵させたたい肥を土にまいています。このたい肥には、窒素・リン酸・カリウムといった作物の成長に欠かせない成分が豊富に含まれており、化学肥料に頼らないサステナブルな土づくりは、「Hennery Farm」の大きなこだわりのひとつです。
今回は、私たちもアフロヘアーに扮して「アフロきゃべつ」の収穫体験をさせていただきました。畑に到着すると、「まずはキャベツ本来の味を体験してほしい!」と坂尾さんが、畑に育ったままのキャベツに包丁をザクザクと入れていきます。ミルフィーユ状にくり抜かれたキャベツを一口で頬張ると、外葉の瑞々しさと芯の甘さの違いを一度に楽しむことができました。こんな贅沢なキャベツの食べ方は初めてです。
同じキャベツでも、部位によって食感や甘さが異なるため、餃子の餡に使う際にもこうした違いを意識すると、餃子の仕上がりが格段にレベルアップしそうですね。
おいしいキャベツの見極め方
坂尾さんに、おいしいキャベツを見つける方法ついても教えていただきました。まず、お米に様々な品種があるように、キャベツにもさまざまな品種があるということを教えていただきました。もちろん冬キャベツと春キャベツでも適した品種が異なります。
冬キャベツは巻きがしっかりとしていて、葉が硬めなのが特徴です。また、水分が少なめで甘みが強いため、餃子の具材として適しています。「冬キャベツを選ぶときは、外葉の色に注目してください。葉が赤く変色しているものほど、甘みが強い証拠です。」と坂尾さんは言います。これは、冬の寒さから身を守るためにキャベツが自ら糖度を高め、アントシアニンという成分を生成するためです。このアントシアニンの影響で、葉が赤く変色するのです。つまり、赤みの強いキャベツほど、甘さが際立つというわけです。
一方、春キャベツは、葉にウェーブがあり、ふんわりと巻かれていて、柔らかいのが特徴です。水分と甘さのバランスがよく、餃子にしてもおいしく仕上がりますが、生で食べたり、大きめにカットして「キャベツステーキ」にするのもおすすめの食べ方だそうです。鮮度のよい春キャベツを見分けるポイントとして「芯の切り口が乾燥していないこと!」と「外葉が多くついていること!」だと教えていただきました。
(左)春キャベツ (右)冬キャベツ
これで餃子を作る際にキャベツ選びで失敗することはなくなりそうですね。次回は、坂尾さんが育てた「アフロきゃべつ」をタップリ使った「アフロきゃべつギョーザ」の作り方を教えていただきます。
店舗情報
●店名:Hennery Farm / へねりーふぁーむ
●所在地:〒288-0004 千葉県銚子市笠上町5827
●電話番号:090-4135-9148
●公式サイト:https://www.hennerymarket.com/
●その他:ご参加の場合は、事前にサイトからご予約ください。
●通販ページ:https://www.hennerymarket.com/blank-11/
●店名:Hennery Farm / へねりーふぁーむ
●所在地:〒288-0004 千葉県銚子市笠上町5827
●電話番号:090-4135-9148
●公式サイト:https://www.hennerymarket.com/
●その他:ご参加の場合は、事前にサイトからご予約ください。
●通販ページ:https://www.hennerymarket.com/blank-11/
塚田 亮一(「東京餃子通信」の編集長)
2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」編集長。
「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。
これまで食べ歩いた餃子店の数は3,000店以上。
長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。また、趣味のマラソンを活かし、餃子専門店を走って巡る「餃子マラニック」を主催。
作って、食べて、走れる、餃界のオールラウンダー。(「食べあるキング」より引用)