世界の料理から発想した創作餃子「De-De GYOZA」(前編)
餃子専門サイト「東京餃子通信」の編集長の塚田亮一です。
今回の「プロに学ぶ餃子を美味しく作る秘訣」では、「もしも〇〇人が餃子を作ったら」というテーマで創作餃子を提案している「De-De GYOZA」の店主、松井まり子さんに、世界各国の料理から発想した創作餃子の作り方を教えていただきました。
コロナ過で生まれた創作料理たち
「もしも〇〇人が餃子を作ったら」というテーマで、世界各国の料理をイメージした創作餃子を提供して、SNSなどで話題の「De-De GYOZA」。店主の松井まり子さんは、本業のフードスタイリストとして活動する傍ら、週5日お店に立って餃子を提供しています。
「コロナ禍の緊急事態宣言中のステイホーム期間に餃子作りにハマりました。」とDe-De GYOZAを始めたきっかけを振り返る松井さん。皮作りの研究から始め、さまざまな小麦粉を試し、こね方も実験し、その後は餡の具材の研究に没頭。緊急事態宣言下の2か月間、ほぼ毎日新しい餃子を開発し、SNSで公開するという日々を過ごしていたそうです。
更に、餃子作りを続ける中で世界中に餃子のような料理があることに気付いた松井さんは「世界各国の人が焼き餃子を作ったら?」と妄想しながらひたすら餃子を作り続け、気付けば餃子のレパートリーは50種類ほどになっていたそうです。
縁あって2022年12月から週1回シェアキッチンで「De-De GYOZA」をスタートし毎週異なる餃子を販売。2023年の10月に週5日営業の拡大するのに合わせて、これまで作った餃子の中から人気の7種類の餃子を選出し現在のスタイルに落ち着いたとのことです。
「De-De GYOZA」の店主 松井まり子さん
フランスパン用の小麦粉で作る手作り皮
松井さんが皮作りの研究を経て最終的に行き着いたのは、フランスパン作りに使われる「リスドォル」という準強力粉です。餃子の皮に使うともちもちした食感とサクッと軽い焼き上がりになるとのこと。
作り方は、まず小麦粉に塩を加え、加水率約50%の割合でお湯を足して練り込みます。手である程度捏ねた後、フードプロセッサーでしっかりとこねます。グルテンが十分に出てきたらサラダ油を少し加えて伸ばし、さらに強くこねた後に30分から1時間程度寝かせます。
生地を寝かせて表面がしっとりとしたら、棒状に伸ばし8gずつにカットします。ポイントとして「生地を球状に丸めておくと、皮をきれいな形に伸ばしやすい。」と松井さんは教えてくれました。打ち粉には片栗粉を使い、丸めた生地を綿棒で伸ばせば皮の完成です。焼き餃子用の皮は、中央を厚くするのではなく均一に伸ばすのがコツだそうです。
また、De-De GYOZAでは、餃子の種類によって生地に風味を付けるため、野菜のペーストやマーマレード、香辛料、いりこ出汁などを生地に練り込んでいます。皮まで美味しく食べるために非常に手間暇をかけた方法を採用しています。
フランスパン用の小麦粉で作る手作り皮
もしもフランス人が餃子を作ったら
「De-De GYOZA」の人気餃子「鴨とオレンジマーマレードの餃子」の餡の作り方を教えてもらいました。この餃子は、松井さんが「もしもフランス人が餃子を作ったら?」という発想で誕生した餃子です。「パテをイメージしていますが、焼き餃子として楽しめるように作りました。」と松井さん。
餡の具材には、鴨肉、鶏肉、玉ねぎ、エリンギ、ディル、生姜、ニンニクを使用します。鴨肉と鶏肉はフライパンで皮側の面を焼いた後、フードプロセッサーでミンチにします。皮を焼くことで肉を細かく切りやすくし、餡に香ばしい香りを付けます。
ミンチにした鴨肉と鶏肉に、細かくカットした野菜を混ぜ、醤油とマーマレードで味付けをすると餡が完成します。鴨肉の香ばしさ、ディルの香り、そしてマーマレードの甘い風味が絶妙にマッチし、このまま餡だけをグリルしても美味しそうです。
鴨肉と鶏肉などの具材で作る餡
餡だけでなく皮にもマーマレードを練り込んでいます。皮に風味が感じられるだけでなく、糖分の添加により焼き面の食感に変化が生まれます。鴨とオレンジマーマレードの餃子は、フランスの家庭料理のような雰囲気を持ちながらも、焼き餃子として成立しています。まさに"フランス人が作りそうな餃子!"ですね。松井さんによると"白ワインと合わせるのがおすすめ!"とのことです。
鴨とオレンジマーマレードの餃子
今回は、De-De GYOZAの皮と鴨とオレンジマーマレードの餃子の作り方をご紹介しました。次回は、スペインやトルコをイメージした餃子の作り方をご紹介したいと思います。
店舗情報
●店名:De-De GYOZA(食のスタイルLabo)
●所在地:〒153-0051 東京都目黒区上目黒5-32-4
●営業時間&定休日:Instagramページ「dede_gyoza」よりご確認ください。
●Instagramページ https://www.instagram.com/dede_gyoza/
●店名:De-De GYOZA(食のスタイルLabo)
●所在地:〒153-0051 東京都目黒区上目黒5-32-4
●営業時間&定休日:Instagramページ「dede_gyoza」よりご確認ください。
●Instagramページ https://www.instagram.com/dede_gyoza/
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塚田 亮一(「東京餃子通信」の編集長)
2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」編集長。
「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。
これまで食べ歩いた餃子店の数は3,000店以上。
長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。また、趣味のマラソンを活かし、餃子専門店を走って巡る「餃子マラニック」を主催。
作って、食べて、走れる、餃界のオールラウンダー。(「食べあるキング」より引用)