水餃子の人気店「LIU's gyoza」(前編)
餃子専門サイト「東京餃子通信」の編集長の塚田亮一です。
今回の「プロに学ぶ餃子を美味しく作る秘訣」では、お取り寄せ水餃子の人気店「LIU's gyoza」の劉玉栄さんが、大連のお母さんから受け継ぎ、日本で進化させた水餃子の作り方を教えていただきました。
神田明神の参道にあった縁起の良い餃子
コロナ禍前の「LIU's gyoza」は、商売の神様としても有名な神田明神の参道に位置し、参拝者で常に賑わっていました。「中国では餃子はとても縁起の良い食べ物で、金運祈願や子孫繁栄の願いを込めて食されるんです。」と劉さんは語ります。そんな縁起物の餃子は、現在ではお取り寄せや百貨店の催事などで冷凍餃子として販売され、多くのファンから支持されています。
劉さんの故郷である大連は海に囲まれた港町で、海鮮が豊富に手に入るため、餃子の餡にも旬の海鮮が使われるそうです。実際に「LIU's gyoza」では、イカやホタテ貝、海老、ハマグリ、ウニなどの海鮮を使った餃子が販売されています。
大連仕込みの劉さんの餃子は、日本の食材との出会いによりさらに進化をしています。「日本の食材の美味しさや品質の高さには驚かされます。」と劉さんは述べます。厳選した日本の食材と大連の餃子の技が融合し、「LIU's gyoza」でしか味わえない贅沢な餃子が誕生しました。
劉さん(左)&オーナーの田端さん(右)と「LIU's gyoza」の水餃子
こだわりぬいた素材で作る餃子
「LIU's gyoza」では、皮に使用する小麦粉を無農薬の国産小麦粉10種類以上から試行錯誤し、現在の配合にたどり着いたそうです。また、大連では水を使って生地を練っていたものを、現在はお湯を使って生地を伸ばしています。大連と日本の気候の差や選んだ小麦の特性などが影響していると思われますが、お湯を使うことで適度な弾力とつるんとした食感の皮に仕上がるとのこと。
皮作りや餡の味付けに使う塩へのこだわりも際立っており、ミシュラン星付きシェフも憧れる田野屋塩二郎の太陽結晶塩を使用しています。劉さんの餃子に合うようにオーダーメイドで作られた塩は尖った塩辛さがなく、優しい塩の風味が食材の味を引き立てます。
「LIU's gyoza」がもう一つこだわっている調味料は醤油です。様々な醤油を試した結果、選ばれたのが丸又商店の尾張のたまりです。小麦を使用せず、国産丸大豆と塩のみを用い、杉樽で3年間熟成させたたまり醤油は、旨味が凝縮した濃厚な風味が特徴で、熱を加えても香りが活きるという特性があります。
劉さんの作る餃子の味付けは、塩とたまり醤油、純米酒のみで行われています。このバランスだけで、素材の味が際立つことに本当に驚きました。
小麦(左上)と塩(左下)と醤油(右)
皮の色と包み方で餃子を演出
「LIU's gyoza」では、水餃子の種類が判別しやすいように皮に色を付けたり、包み方を変えたりする演出を行っています。
例えば、海老を使った餃子にはピンク色の皮、きのこを使った餃子には黄色、ほうれん草の餃子には緑色の皮がそれぞれ専用で作られています。合成着色料を使わず、野菜パウダーも使わずに、ビーツのすりおろし汁やほうれん草の絞り汁、カボチャの裏ごし等を使って野菜の風味を残した皮を手間暇かけて作っています。皮を茹でて加熱すると色が変化するのも楽しいポイントです。
ほうれん草の絞り汁で色付けされた皮
ビーツのすりおろし汁で色付けされた皮
劉さんが実演してくれた包み方には様々なものがあります。海老の餃子は、海老の形を模して、真ん中に向かって左右からヒダを作る包み方で包まれます。これは木の葉包みとも呼ばれます。ほうれん草の餃子は、ヒダを付けずに二つ折りに圧着し、皮の端同士をくるりとつなげる帽子型です。ハマグリの餃子は、二つ折りにした皮の縁の部分を内側に折り返す半月型の包み方です。どの包み方も美しく、自分でも試してみたくなりますね。
劉さんが包む様々な形の餃子
今回は、「LIU's gyoza」のこだわりの食材と皮の作り方について劉さんに教えていただきました。次回は大連仕込みの餡づくりについてお伝えしたいと思います。
店舗情報
●店名:LIU's gyoza(劉さんの水餃子)
●オンラインショップ https://liusgyoza.stores.jp/
●Instagramページ https://www.instagram.com/liugyoza//
●店名:LIU's gyoza(劉さんの水餃子)
●オンラインショップ https://liusgyoza.stores.jp/
●Instagramページ https://www.instagram.com/liugyoza//
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塚田 亮一(「東京餃子通信」の編集長)
2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」編集長。
「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。
これまで食べ歩いた餃子店の数は3,000店以上。
長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。また、趣味のマラソンを活かし、餃子専門店を走って巡る「餃子マラニック」を主催。
作って、食べて、走れる、餃界のオールラウンダー。(「食べあるキング」より引用)