お酒に合う餃子が楽しめる「Gyoza Bar けいすけ」(後編)

お酒に合う餃子が楽しめる「Gyoza Bar けいすけ」(後編)

餃子専門サイト「東京餃子通信」の編集長の塚田亮一です。
今回の「プロに学ぶ餃子を美味しく作る秘訣」は、前回に引き続き「Gyoza Bar けいすけ」店主の緒方佳祐さんに、お酒に合う餃子の作り方やペアリングについて教えてもらいます。
後編ではワインに合わせた餃子について色々とお聞きしました。

ヴィーガンでも楽しめる野菜餃子はスパークリングで

スパークリングワインに合う餃子ということで「野菜餃子」を紹介してもらいました。「海外からのお客様の中にはベジタリアンやヴィーガン、ムスリムの方がいて、彼らでも楽しめる餃子を開発しました」と緒方さん。「Gyoza Bar けいすけ」の野菜餃子には一切動物由来の食材が使われていないのに旨味がしっかりしていてお酒にも合うと人気です。
その旨さの秘密は茄子です。緒方さんによると「キャベツやほうれん草、小松菜など色々と試したんですけど、今のイチオシは茄子」とのこと。野菜の下ごしらえにも一手間も二手間もかけるのが緒方流です。まずは茄子を網で焼いて香ばしさを付けます。次に茄子とパプリカをフードプロセッサーで細かくカット。こちらを豆乳、ヴィーガンバターと一緒に加熱をしてまとめていきます。最後に冷蔵庫で冷やすとペースト状の野菜餃子餡が完成。後は包んで焼くだけです。
野菜餃子を頬張ると濃縮された茄子の旨味に驚きます。茄子ってこんなに深い味なんですね。更にパプリカの苦味や独特の香りが良いアクセントになっています。オリーブオイルやクミンなどのスパイス、青海苔などを使って香りに変化をつけるのもオススメとのこと。スパークリングワインと相性抜群のオシャレな餃子でした。
野菜餃子とスパークリングワイン

サバの一夜干しを使ったサバ餃子で白ワイン

続いて白ワインには魚料理が合うということでサバを使った焼餃子の作り方を教えてもらいました。中国でも大連など沿岸部ではサバやサワラ、貝類や海藻類などの海産物を使った餃子が色々と作られていますが、緒方流の「サバ餃子」はそれらの餃子とは一線を画した逸品です。
使うのは一夜干しのサバ。生のサバよりも水分を飛ばすことで旨味が凝縮されています。一夜干しのサバを骨と身に分けて、骨を炊き込み出汁を取ります。身の部分はキッチンペーパーで包み冷蔵庫で一晩置いて更に乾燥させます。これを骨から取った出汁と長ネギと一緒にフードプロセッサーで混ぜれば餡の完成です。
和風なテイストに仕上げてあり、脂ののったサバの旨味を餃子の中にギュッと閉じ込めています。レモン汁やすだちなどの柑橘類を軽く絞って食べるのがオススメ。更に白ワインのフルーティな香りや旨味との相乗効果で餃子もワインも両方が美味しさを増す感じがしました。

サバ餃子と白ワイン

イノシシ肉を使ったジビエ餃子で赤ワイン

最後に赤ワインに合う餃子ということで「ジビエ餃子」を紹介してもらいました。この日はイノシシ肉を使った餃子の作り方を見せてもらいましたが、鹿を使った餃子などにも挑戦をされているとのこと。今回紹介してもらった餃子は全て手が込んでいましたが、このイノシシ餃子は最も手間を掛けている餃子かもしれません。
使うのは千葉の君津から取り寄せたイノシシ肉の肩ロース。イノシシ肉の食感を残すために超粗挽きに挽きます。イノシシ肉は旨味がとても強いのですが、更にここに塩麹を足して旨味を足します。
並行して野菜餡づくりも行います。野菜餡に使うのはイノシシの骨を煮込んで作ったスープと白菜。細かく刻んだ白菜をイノシシ骨のスープと一緒に炊き込んでイノシシの旨味を白菜にも染み込ませます。炊き込んだ白菜を一度絞って水分を落とし肉餡と混ぜます。絞り汁はもう一度煮出して濃縮してから肉餡に追加。餡は練り込まずに肉の食感を残すのも重要なポイントとのことでした。
食材とワインの色を合わせるのが基本ともいいますが赤いイノシシ肉と赤ワインは本当によく合いますね。餃子の皮で包まれたイノシシ肉の脂身の甘さと野性的な強い旨味が赤ワインの渋みや酸味によって更に引き立つ感じでした。
前回と2回にわたって緒方さんにお酒と餃子のペアリングについて詳しく教えてもらいました。緒方さん曰く「Gyoza Bar けいすけの餃子も常に色々と試しながら変化をさせている」とのこと。今回ご紹介した頂いた餃子のアイデアをベースに、皆さん独自のペアリングも見つけてみてください。
ジビエ餃子と赤ワイン

店舗情報
●店名:Gyoza Bar けいすけ
●所在地:東京都台東区浅草4-18-7
●営業時間:火~日: 18:00~28:00
●定休日:月曜日
●電話番号:090-2680-4013
●公式サイト https://gyozabark.jimdofree.com/
●Instagramページ https://www.instagram.com/gyoza_k/?hl=ja
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塚田 亮一(「東京餃子通信」の編集長)
2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」編集長。
「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。
これまで食べ歩いた餃子店の数は3,000店以上。
長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。また、趣味のマラソンを活かし、餃子専門店を走って巡る「餃子マラニック」を主催。
作って、食べて、走れる、餃界のオールラウンダー。(「食べあるキング」より引用)