餃子の色々な包み方

餃子の色々な包み方

「塚田編集長に聞いてみたい12の餃子のコト」では、読者のみなさまからいただいたテーマや質問に、塚田編集長がお応えする形で餃子コラムを展開していきます。
暑かった夏も終わりを告げ、食欲の秋がやって来ました。秋は様々なおいしい食材が手に入るので、旬の食材を使った餃子を作ってみるのも楽しいですよね。
さて、今回は「餃子の形にはどんなものがありますか?」というご質問をいただきました。みなさんは餃子を包むときは三日月形に包むことが多いと思いますが、実は様々な形の餃子があるんですよ。



餃子屋さんで出会った様々な形の焼餃子

3,000軒も餃子の食べ歩きをしていると様々な形の餃子に出会います。同じ三日月型の餃子でも、良く観察をしてみるとヒダのつき方が異なります。ひだを細かく浅く沢山つけると、手間はかかりますが餡をギリギリまでたっぷり包むことができます。一方で包む速度が求められる場合はヒダの数を1か所とか2か所にして極限まで手数を少なくしています。速い人だとこの包み方で5秒かからずに餃子を包むことができます。
ヒダがない半月型の餃子に出会ったこともあります。餡の量はあまり多くは包めませんが、焼き面が広くなるというメリットがあります。更に半月型の餃子は両面焼きにすると揚げ餃子の様にサクッと軽い食感に仕上がります。
焼き面を広くとって両面焼きにする餃子には棒餃子もあります。棒餃子は四角い大きめの皮を使って包むので餡もたっぷり入り食べ応えがあります。そして棒餃子の原形とも言われているのが中国の焼き餃子である鍋貼(コーテル)です。鍋貼は丸い皮を使い皮の上部だけを止めて側面は閉じずに棒状にして底面だけを焼きます。こちらもカリッとした焼き面の食感が特徴的です。



目でも楽しめる中国の宴席用餃子

中国では餃子は縁起の良い食べ物として考えられており、宴席でも餃子はしばしば登場します。宴席用の餃子は、家庭用の餃子とは異なり専門の職人が作る洗練した形と彩で、目で楽しめる要素が強くなっています。特に唐の都、長安(現西安)では、早くから餃子が常食され多彩な餃子が楽しまれていたそうです。その伝統は現在の西安餃子に受け継がれ、西安餃子には170種類以上の餃子があるとされています。
その形は金魚や鳥などの生き物の形を模したものや、華や果物の形を模したもの、冠の形をしたものなど様々です。中でも定番なのは縁起の良い「四」の数から作られた「四喜餃子」。白い皮で四角く包んだ餃子の上部を四つに区切り、四色の飾りを入れた鮮やかな餃子です。
これらの宴席用の餃子は蒸籠で蒸して出されます。細かい細工や彩を崩さずに調理をするには蒸し餃子が適しているようです。


自宅でもできる色々な包み方

自宅でも色んな形の餃子が作れると楽しいですよね。簡単にできる変わった形の包み方をいくつかご紹介いたします。まずは帽子包み。餡をのせた皮を半分に折って圧着をしてから、角と角をクルっとくっつけるだけ。かわいらしい帽子のような餃子が出来上がります。帽子包みは水餃子を作る時におすすめです。
続いて三角包み。別名マウンテン包み。皮の真ん中に餡を置いてから三方より中心に向かって寄せるだけ。三本の線になるように形と整えれば三角形の餃子が出来上がります。お皿の上に置いたまま包めるので、包みにくい緩めの餡やトッピングを入れるときにおすすめの包み方です。
最後はボリューミーでゴージャスな薔薇餃子。まずは餃子の皮を3~4枚横向きに連結させます。次に真ん中よりやや下に餡を盛りつけてから皮を少しずらして半分に折ります。最後に端からくるくるっと丸めると薔薇の形の餃子が完成です。焼餃子や蒸餃子にすると形が崩れにくいのでおすすめです。



塚田 亮一(「東京餃子通信」の編集長)
2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」編集長。
「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。
これまで食べ歩いた餃子店の数は1000店以上。
長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。また、趣味のマラソンを活かし、餃子専門店を走って巡る「餃子マラニック」を主催。
作って、食べて、走れる、餃界のオールラウンダー。(「食べあるキング」より引用)