塚田編集長の特別コラム「わが家の手作り餃子」

塚田編集長の特別コラム「わが家の手作り餃子」

今回の特別コラムでは、塚田家のおうち餃子をご紹介したいと思います。
全国の餃子を食べ歩きながらたどり着いた私好みの餃子です。おうち餃子をレベルアップするテクニックも併せて紹介しちゃいます。
ステイホームで料理をする機会も増えていると思いますので、この機会に家族みんなで餃子作りを行ってみてはいかがでしょうか。

餃子の材料を準備する

最初に材料を紹介します。こちらが長年の研究の末に行きついた塚田家のおうち餃子の材料です。基本的には一般的なスーパーマーケットなどで手に入る材料しか使っていません。
【材料】(餃子60個分)
・豚バラ肉...300g
・豚ロース肉...200g
・白菜の漬物...300g
・にら...100g
・長ねぎ...50g
・しいたけ...50g
【調味料】
・醤油...大さじ2
・ごま油...大さじ1
・紹興酒...大さじ1
・中華スープの素(練り)...大さじ1
・おろし生姜...大さじ1
・砂糖...小さじ1
・五香粉...少々
・コショウ...少々
【皮】
・餃子の皮(もち粉入り餃子の皮)...20枚入り×3袋
豚肉のひき肉を使わずに、豚バラ肉と豚ロース肉をそれぞれ分けてひき肉にします。ちょっと面倒ではありますが、部位を変えたり挽き方を変えたりすることで餃子の味や食感がガラッと変わるので、お時間が許すときには是非挑戦してみて欲しいテクニックです。
※私も時間がないときは豚ひき肉を買ってきて使います。
私の好みのバランスは豚バラ肉3に豚ロース肉2の割合。豚バラ肉はフードプロセッサーで細かくミンチにします。一方で豚ロース肉は、包丁をつかって粗めにチョップします。これによってジューシーかつ肉々しい食感を実現することができます。
続いて野菜でのポイントは白菜の漬物です。ある飲食店で出会った漬物を使った餃子の美味しさに衝撃を覚え、それ以来、塚田家の餃子でも白菜の漬物を使うようになりました。白菜の漬物は水洗いをして軽く塩抜きをしてから、粗めにカットします。その後しっかりと水気を絞るのですが、この時白菜から出た水分は後で使うので器にとっておきましょう。
にらや長ねぎ、しいたけもそれぞれみじん切りにします。
調味料でのポイントは、紹興酒と五香粉です。これらを足すことによって餃子の香りが一気に本格的な中国料理の様な香りになります。五香粉というのは、中国で良く使われる混合スパイスです。八角や花椒、シナモン、陳皮などのスパイスが使われています。五つの香りの粉と書きますが、五つ以上のスパイスが使われることもあるそうです。

餃子の餡を作る

材料の準備ができたら餃子の餡作りを行います。餡作りのポイントは肉餡です。フードプロセッサーで挽いた豚バラ肉をピンク色のペースト状になるまで練りこみます。これによって餃子が調味料等を吸いやすくなりジューシーな仕上がりになります。
十分に豚バラ肉が練りあがったら調味料を加えてしっかりと混ぜていきます。調味料が全体にいきわたったら、先程絞った白菜のしぼり汁を肉餡に練りこみます。しぼり汁はちょっとずつ足しながら肉餡を混ぜていくと豚肉がしぼり汁をどんどん吸ってくれます。
肉餡がペースト状になってきたら、粗めにチョップにした豚ロース肉を加えて軽く混ぜます。この際に強くかき混ぜるとロース肉がつぶれてしまうので、豚ロース肉の形が残るように混ぜるのがポイントです。肉餡ができたらラップをして冷蔵庫で30分~1時間寝かせましょう。冷蔵庫で寝かすことで味が馴染むと共に、脂分がかたまって餡が包みやすくなります。
カットした野菜たちは包む直前に混ぜるのも、もう一つの重要なポイントです。野菜を早くに加えると、野菜から水気が出てしまい野菜の食感や旨味が損なわれます。

順番さえ間違わなければ、驚くほどジューシーな餃子に仕上がるので是非お試しください。

餃子を包む

餡ができたら餃子を包んでいきましょう。餃子包みは餃子作りの中でも一番楽しい工程の一つ。特に家族や友人とみんなで一緒に包むと包み手の個性が見えて楽しいんですよね。
餃子を包むポイントは餃子を包む前から始まっています。餃子の皮は冷蔵で保存しますが、冷えたままの餃子の皮は固くなっていて伸びないので包みにくいです。必ず常温に戻してから包みましょう。また、餃子の皮は乾燥が大敵です。開封した餃子の皮はビニール袋を入れたり濡れたキッチンペーパーをかけたりして乾燥対策をとりましょう。この2点を守ってもらうだけで、おうち餃子の包みが各段にレベルアップします。
続いて包む際のテクニックです。餡は皮に押し付けるようにできるだけ平たく伸ばすように皮にのせてから包みましょう。皮と餡との間に余計な隙間ができるのを防いでくれます。
ひだの付け方やひだの形は正直なところどんな付け方でもOKです。ただし絶対に守ってもらいたいのは キッチリと閉じること。ひだを付けた後に親指の腹の部分を使ってひだを潰すように圧着をしましょう。上から見て一本の線の様になっていれば完璧です。もしつなぎ目が開いてしまうと、焼く際に餡の肉汁が外に出てしまったり、蒸し焼きに使うお湯が餃子の中に侵入してしまったりして餃子の味が変わってしまうので注意しましょう。
餃子の皮は色々な種類が手に入るので、好みのものを探してみるのも楽しいですよ。ちなみに私は"もち粉入り餃子の皮"がお気に入りです。

餃子を焼く

餃子は材料や味付け、包み方でももちろん味は変わりますが、実は最も重要な工程は「焼き」です。うまく焼けるかどうかでその餃子の運命が決まると言っても過言ではありません。
まずフライパンにサラダ油を薄めに引き、そこに先程包んだ餃子を丸く並べていきます。隙間は余り開けなくても大丈夫です。
餃子を並べ終わったら強火でフライパンを熱していきます。餃子の底面が白っぽく変色してきたらフライパンが十分に熱された合図です。そこに餃子の1/3の高さまで熱湯を入れて素早くフタをします。
餃子は茹で焼きではなく蒸し焼きにすることで皮のモチモチ食感がでてきます。熱湯を使うことで瞬時に水蒸気になるため一気に蒸しの工程に入れます。ここで水を使ってしまうと、フライパンの温度下がり沸騰するまでに時間がかかり、この間に餃子の皮が伸びてしまいモチモチ食感が損なわれてしまうの注意しましょう。
4~5分ほどでフライパンの中のお湯が全て蒸発してなくなります。ここから焼き色を付けていく最終工程に入ります。フタをとりフライパンの淵にそって油を回し入れます。ここでごま油をいれると香ばしい香りの仕上がりになりますし、サラダ油や米油を使うとさっぱりと軽めの仕上がりになります。また油を多めに入れることにより揚げ焼きに仕上げることも出来ます。油の種類や量を変えながら好みの焼き方を探ってみましょう。
強火のまま油が餃子の底面に回るようにフライパンを揺らします。またコンロでは火の当たり方は均一ではないので、フライパンを回転させながら焼くと焼きムラが出にくくなります。
焼き色が付いてきたら仕上げとなります。慣れてくればパチパチとした焼き音の変化で上げるタイミングが分かるようになりますが、慣れないうちは餃子を持ち上げて直接焼き色を目で見て確認するのが確実な方法です。
焼き色がキレイについたタイミングで火を止めて、餃子の上に丸皿を被せます。この時にフライパンよりも一回りか二回り小さな丸皿を使うのがポイントです。丸皿をひっくり返す際には、一旦縦にしたところで止めてしっかりと油切りをします。多めの油を使っている場合は、器に余った油をとっておけば2回目に焼くときに油が再利用できます。お皿が熱くなるので火傷には注意してください。

餃子を食べる

上手に焼きあがった餃子は、熱々のうちに一気に食べましょう。塚田家のおうち餃子は、餃子の餡に下味をしっかり付けているのでまずはそのままお召し上がりください。餃子本来の風味が楽しめると思います。
 その後でお好みで酢醤油やポン酢などのつけだれを使って食べてみてください。辛味が欲しい場合はラー油を使うことが一般的ですが、柚子胡椒や和からし、一味唐辛子などもお勧めです。また塚田家のおうち餃子は、酢コショウとの相性も抜群です。ジューシーに仕上げた豚肉餡の旨味や野菜の甘味がより際立つと思います。
餃子を食べるときに試して欲しいのが食べる方向を変えることです。焼き面を下にして食べるのとより餃子の食感のコントラストが強く感じられます。一方で焼き面を上にして食べると、より餃子の味をダイレクトに感じることが出来ます。同じ餃子でも印象がガラッと変わるので是非試してみてください。


塚田 亮一(「東京餃子通信」の編集長)
2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」編集長。
「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。
これまで食べ歩いた餃子店の数は1000店以上。
長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。また、趣味のマラソンを活かし、餃子専門店を走って巡る「餃子マラニック」を主催。
作って、食べて、走れる、餃界のオールラウンダー。(「食べあるキング」より引用)