アグチム(아구찜)

慶尚南道キョンサンナムド馬山マサン(마산)は古くからの漁港と魚市場を誇り、特産品のアンコウを使った料理、アグチム(아구찜:アンコウの蒸し煮)発祥の地として有名です。アンコウは韓国の標準語ではアグィ(아귀)と言いますが、慶尚道方言ではアグ(아구)と呼ばれ、この郷土料理も「アグチム」という名で親しまれています。

アグチム

馬山は2010年に昌原チャンウォン市に編入されましたが、旧馬山地区、現在の馬山合浦区内の午東洞オドンドンには古くからアグチム専門店が軒を並べ、2016年には「馬山アグチム通り」(마산 아구찜거리)として韓国文化体育観光部と韓国観光公社から「飲食テーマ通り」に選定されました。

アグチム



アグチムは、アンコウを大豆もやしや芹などとともに甘辛く蒸し煮にしたボリュームある料理で、ご飯のおかずや焼酎の肴として人気を得て、今や韓国全土に知られる名物料理となりました。アグチムに使われるアンコウには、生のもの(センアグ:생아구)や冷凍もの(ネンドンアグ:냉동아구)、干物(コンアグ:건아구)がありますが、馬山では干しアンコウを使うのが本場式とされています。干しアンコウは独特のにおいがあるため若年層には敬遠されがちですが、古くからの伝統を守り干しアンコウを使う店が馬山には残っています。

この、干しアンコウにはひとつのエピソードがあります。かつてアンコウは見た目の悪さから人々から疎まれ、好んで食べられる魚ではありませんでした。冬のある日、馬山の漁夫が網にかかったアンコウを藁ぶき屋根に投げ捨てておいたところ、アンコウは夜間の凍結と昼間の解凍を繰り返して、いつしか天然の干物となりました。それを地元のお婆さんが辛く煮たところ大変美味しく、「アグチム」の名で次第に広まっていったと言われます。

アグチム


薬念研究所HP:キーワードで見る食文化2026年2月「馬山 アグチム(아구찜)」より転載