キム(김)海苔


韓国は日本同様、海苔の養殖が盛んです。パリッとした食感と香ばしい味わいの韓国海苔は、今では日本の家庭でもすっかり定番になりました。その背景には、古くから続く海苔養殖の歴史があり、韓国沿岸で培われた伝統的な技術と人々の暮らしが深く関わっています。


韓国における海苔の歴史をたぐると、文献上最古のものが『慶尚道地理志』(1425)で、「海衣ヘウィ
(海苔のこと)が慶尚南道・河東ハドンで食べられ始めた」という記述が出てきます。その後、『東国與地勝覧』(1481)に、「海苔が全羅南道クァンヤン・光陽の特産物として採取されている」という記載や、『屠門大嚼』(16파래김11)に「海衣は南海にもあるが、東海の人が採って干したものが最良」、あるいは『茲山魚譜』(1814)に「海苔には根があり岩にはりついており、枝はなく、岩の表面にくっついて広がる」と記載されています。


また、1640年ごろ、モンゴル軍の侵入に挙兵した金汝翼キムヨイクが、戦いののちに光陽郡太仁島テインドに立ち寄った際、海に漂う木片に海苔が付着しているのを発見し、木柱を立てて海苔の養殖を始めたと言われています。そして、創始者・金汝翼の名をとって、海苔を김(キム)と呼ぶようになった、というエピソードがあります。



キム


一方、韓国の海苔を原材料別に分けると、次のようになります。


在来チェレキム(재래김)
在来種であるスサビノリをいて作ったもの。薄くて柔らかい。別名「朝鮮チョソンキム」。


・トルキム(돌김)岩海苔
岩場に生えている海苔で香りがよい反面、乾海苔にすると破れやすく、パサパサしているため、スサビノリと半々に混ぜることが多い。


・パレキム(파래김)青海苔
緑色の海苔で、特有の磯の香りと鮮やかな緑色が特徴です。


キム
キム


韓国での海苔の調理法としては、塩とごま油をぬって炙り、김구이(キムクイ:焼き海苔)にしたり、細かくちぎって薬味醤油で和え、김무침(キムムッチム:海苔の和えもの)にしたり、김밥(キムパプ:海苔巻き)に使ったりします。


キムムッチム
キムパプ


薬念研究所HP:キーワードで見る食文化2011年10月「キム(김)海苔」より転載