日本で豆腐といえば木綿、絹、おぼろ豆腐などの種類があるように、韓国でも豆腐にはいくつかの種類があります。
中でも、豆乳を棒状のビニール容器に注入して凝固させた「スンドゥブ」(순두부)は、今にも崩れそうな柔らかさと滑らかな舌触りで、他に類を見ない独特な豆腐です。「スンドゥブ」はよく「おぼろ豆腐」「汲み豆腐」と訳されますが、しっかりとした質量感を持つ「おぼろ豆腐」や「汲み豆腐」よりも、「充填豆腐」に近い食品といえます。ただし、韓国のスンドゥブは日本の充填豆腐よりもさらに柔らかく、容器から出すと形をとどめていられません。
そんな「スンドゥブ」を主材料に、トゥッペギ(뚝배기)と呼ばれる素朴な土鍋でピリ辛味に煮上げたチゲが「スンドゥブチゲ」(순두부찌개)です。スンドゥブチゲを、略して「スンドゥブ」と呼ぶこともあります。
スンドゥブチゲの種類
スンドゥブチゲは、入れる具材やベースとなる味つけによって、次のような種類があります。
・キムチ スンドゥブ(김치 순두부)...刻んだ白菜キムチの入ったスンドゥブチゲ。ただし、特に書かれていなくてもキムチ入りのものは多くあります。
・パジラッ スンドゥブ(바지락 순두부)...あさり入りスンドゥブチゲ。海産物の中でも特にあさりは美味しいダシがスープに出ることから、チゲに重宝されます。
・ヘムル スンドゥブ(해물 순두부)...ヘムルとは海産物のことで、海老、いか、たこ、貝類などがよく使われます。
・チャンポン スンドゥブ(짬뽕 순두부)...韓国式チャンポン同様、海老・いか・たこ・貝などの海産物がふんだんに入った、爽やかな辛さのスンドゥブチゲ。
・マルグン スンドゥブ(맑은 순두부)...マルグンとは「澄んだ」という意味で、粉とうがらしやコチュジャン、味噌などを使わず、塩、薄口しょうゆ、アミの塩辛などで透明なスープに仕上げたスンドゥブチゲ。
このタイプのものにはしばしば韓国かぼちゃ(エホバッ:애호박)を具に入れることから、エホバッ スンドゥブチゲ(애호박 순두부찌개)とも呼ばれます。生の青とうがらしを入れると、見た目は赤くないのにぴりりと辛い仕上がりになります。