ユッポ(육포)

ユッポは漢字で「肉脯」と書き、した干し肉をさします。肉(主に牛肉)の赤身を薄切りにして味つけし乾かしたもので、モンゴル料理の影響を受けて朝鮮半島に古くから伝わる保存食のひとつです。

伝統的なユッポは、当時は極めて高価だった牛肉を手間ひまかけて加工した高級食品で、宮中料理として、あるいは婚礼や還暦祝いの宴会膳に欠かせない特別な食べものという位置づけにありました。

ユッポ

ユッポに使われる肉は、脂の酸化を避けて完全な赤身部位が向いており、正統派の牛肉に加えて馬肉、犬肉、猪肉、鹿肉、雉肉、七面鳥などでもユッポが作られてきた例があります。また独自の食文化が発達した済州島では、現在、地産地消の流れの中で黒豚や馬肉のユッポが特産品として売り出されています。

ユッポ

ユッポのビーフジャーキー化

「干し肉」自体は世界各地で古くから存在したもので、中でもアメリカ大陸先住民の保存食をルーツとするビーフジャーキーは有名です。

もともとユッポという素朴な伝統食の存在した韓国ですが、近年スパイシーな輸入ビーフジャーキーの魅力にひかれて、韓国内でもビーフジャーキーそっくりの商品が製造販売されるようになりました。現在いくつものメーカーから多様な商品が出ていますが、品名は「ユッポ」、あるいは「ユッポ」と「Beef Jerky」の併記が多く、「ユッポすなわちビーフジャーキー」というイメージが確立しているようです。

味つけは「ガーリックバーベキュー味」「クレイジーホット」「マイルド」「チーズ入り」「アーモンド入り」などのヴァリエーションがあり、オーストラリア産やニュージーランド産の牛肉が多い中で、「国産」(韓国産)を謳って高級感を打ち出しているものもあります。

特筆すべきは、もともと稀少品として地味な酒肴にとどまっていたユッポが、工場生産品になったことで韓国版ビーフジャーキーとして大衆化し、酒肴の枠を超えて若者や子どものおやつとして人気を得、普及しつつある点といえましょう。

ユッポ

「乾きもの」いろいろ

酒肴の中で「乾きもの」を、韓国語で「マルン アンジュ」(마른 안주)といいます。

数ある「マルン アンジュ」の中でも、ユッポは高級品といえますが、もう少し卑近な「マルン アンジュ」に魚の干物やナッツ類があります。魚の干物を韓国語では「オポ」(어포:魚脯)といい、次のようなものがあります。
※「ポ」 (포:脯)とは、動物性の食材を熨して乾燥させたものを意味します。

・チュイポ(쥐포):カワハギの干物
・ムノポ(문어포):タコの干物
・テグポ(대구포):鱈の干物
・アグポ(아구포)またはアグィポ(아귀포):アンコウの干物

チュイポ

薬念研究所HP:キーワードで見る食文化2017年12月「ユッポ(육포)」より転載