地域によって異なる餃子だれ

2021.01.05

「塚田編集長に聞いてみたい12の餃子のコト」では、読者のみなさまからいただいたテーマや質問に、塚田編集長がお応えする形で餃子コラムを展開していきます。
あけましておめでとうございます。 この時期自宅で過ごすという方が多いと思いますが、この機会に家族や友人と手作り餃子に挑戦するのも楽しいですよ。
さて、自宅で餃子を作るときに最も手軽なアレンジの一つがつけだれの工夫です。今回は「地域によって、つけだれって違いますか?」という質問をいただいたので、つけだれについて深堀したいと思います。


 

東はお好みで酢醤油、西はお店が調合したたれ

地域によって餃子のつけだれへのイメージはかなり異なります。私は横浜生まれなのですが、餃子の食べ歩きを本格的に始める前は、お店でもお家でも餃子を食べるときには、醤油と酢を使って自分好みの配分で酢醤油を作るのが当たり前でした。恐らく東日本出身の方の多くは、私と同じ様に餃子のたれは自分で調合するものというイメージをもたれていると思います。

ところが餃子を食べ歩く様になり関西や九州など西日本の餃子店を訪問し、驚きの事実に気付きました。どのお店入っても独自に配合された餃子のつけだれが用意されていたのです。ポン酢醤油のような柑橘系の香りのするたれやたまり醤油を使ったコクのあるたれ、だし醤油をベースにした旨味を強く感じるたれなど、お店や地域によって様々なつけだれに出会いました。ラー油や唐辛子を混ぜて最初から辛味を付けているつけだれもありました。
東日本では餃子のつけだれを作る際の黄金比的なことが話題になりますが、西日本ではどこのつけだれが好みだとかどのポン酢が餃子によく合うという事が話題になります。同じ餃子のつけだれでも地域で大きくとらえ方が変わります。

特長的なご当地餃子だれ

さらに全国の餃子を食べ歩いていると特長的なつけだれに出会うことがあります。以前のコラムでも紹介しましたが、神戸の餃子は味噌だれを付けて餃子を食べます。お店によって八丁味噌ベースだったり白味噌ベースだったり、調味料の調合が異なったりと、それぞれ自分のお店の餃子との相性を考え抜いたこだわりの味噌だれが用意されています。味噌だれの味を比べるだけでも楽しいですよ。

また広島や久留米には、ネギやニラが入ったつけだれがあります。広島では調合済みの餃子のたれに小口切りにした観音ねぎをどっさり入れて、ねぎだれを餃子に乗せる様にして一緒に食べます。久留米では観音ねぎではなくニラが使われて、同様に餃子にたっぷりとニラをのせて食べます。どちらも辛味や香りが刺激的でお酒のおつまみに最適な餃子のつけだれです。
横浜中華街でも印象的な水餃子のつけだれがあります。なんとつけだれの材料にココナツが使われています。ココナツの甘い香りに加えて八角などの中華系の香辛料や唐辛子の辛味などが加わりとても奥深い味わいのたれです。一度食べると癖になるたれで、私も幾度となくそのお店に足を運んでいます。

 

世界の餃子だれも面白い

日本国内だけでなく、世界に目を向けると様々な餃子のつけだれがあります。水餃子の本場中国では主に香醋(こうず)という黒いお酢をつけて餃子を食べます。そして薬味として刻んだにんにくを添えたり、たれににんにくを漬け込んだりします。中国の餃子にはにんにくは入れないため好みに合わせてたれの方ににんにくを足すようです。
  • 写真:香醋(こうず)写真:香醋(こうず)
ネパールにはモモという餃子や小籠包の様な料理があります。調理方法は蒸したり揚げたりと様々なのですが、モモにも専用のつけだれがあります。モモアチャールと呼ばれるソースで、主な材料はトマトです。トマトペーストにコリアンダーや唐辛子など様々な香辛料を混ぜて作る香り豊かなつけだれです。
  • 写真:モモ写真:モモ
アジアの西端のトルコにもマントゥという小さな水餃子の様な料理があります。マントゥはヨーグルトにすりおろしたニンニクを混ぜたソースをたっぷりかけて食べます。皆さんヨーグルトのソースは食べなれないと思いますが、中央アジアや西アジアでは様々な料理に使われるソースで餃子との相性もとても良いです。
  • 写真:マントゥ写真:マントゥ
所変われば餃子のつけだれも変わるということで、地方によって、また国によって餃子のつけだれは様々です。いつものつけだれではなくちょっと冒険してみると餃子の楽しみ方も広がると思いますので、ぜひ色々と試してみてください。

塚田 亮一(「東京餃子通信」の編集長)
2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」編集長。
「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。
これまで食べ歩いた餃子店の数は1000店以上。
長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。また、趣味のマラソンを活かし、餃子専門店を走って巡る「餃子マラニック」を主催。
作って、食べて、走れる、餃界のオールラウンダー。(「食べあるキング」より引用)