餃子×お正月

餃子×お正月

新年明けましておめでとうございます!みなさんはどのような年末年始を過ごされたでしょうか?お節料理にも飽きてきて、そろそろ餃子が食べたくなってきたころかもしれませんね。そんなみなさんに向けて、水餃子に関する情報をお届けしたいと思います。

水餃子は年越しの料理

日本では年越しの料理といえば「年越しそば」が思い浮かぶと思いますが、中国では東北地方を中心に水餃子で年越しをお祝いするという習慣があります。

中国では旧正月(今年は1月25日)を迎える大みそかの子の刻(0時)は「更歳交子」と呼ばれ「旧年と新年が子の刻で交わる」年越しの大切な時間とされています。この「交子」と「餃子」が同音であることから、大晦日に餃子が食べられるようになったとも言われています。

また、この水餃子の中にピーナッツや銀貨を入れて包んで、ピーナッツの入った餃子を引き当てればピーナッツの別名でもある「長生果」にちなんで長寿健康になり、また銀貨を引き当てればお金に困らないといった、縁起担ぎをしたりする習慣もあります。餃子は本来、お正月にちなんだとてもおめでたい食べ物なのです。

発酵野菜や乾燥野菜を使った水餃子

中国東北地方は中国の中で最も寒い地域です。冬になればマイナス20度や30度など当たり前の極寒地帯です。この様な気候なので、大晦日に餃子を創ろうと思っても新鮮な野菜は手に入りません。冬場、新鮮な野菜が手に入らないため中国東北地方では発酵野菜や乾燥野菜を使った料理がとてもポピュラーで、水餃子にも発酵野菜や乾燥野菜が使われます。

今回は中国東北地方の白菜の漬物である酸菜と、日本でも手軽に手に入る乾燥野菜である切り干し大根を使った餃子を作ってみました。酸菜は白菜を細かく切って塩もみをして水を絞った後、漬物のビンなどに入れ1か月ほど常温で発酵させて作ります。最近は中国食材店でも手に入りますし、日本の白菜の漬物でも代用可能です。餃子の餡に独特の酸味と旨味が加わりクセになる味に仕上がります。私の大好きな餃子の一つでもあります。

切り干し大根は20分ほど水で戻したものを細かく刻んで豚肉餡に追加します。シャキシャキとした軽めの食感が特徴で旨味も増します。子供でも大人でも万人受けする餃子だと思います。食物繊維やカルシムなど栄養も満点なのがうれしいポイントです。

包み方が色々と楽しめる水餃子

水餃子は、焼餃子と異なり焼き面を平らにとる必要はありません。このため包み方の自由度は高く様々な包み方が楽しめます。ポイントは水餃子専用の皮を使うこととしっかりと閉じることの2点のみ。水餃子専用の皮は茹でたときにのびにくく破れにくいのでおすすめです。またしっかりと口を閉じないとお湯がどんどん餃子の中に入ってしまい水っぽくなってしまいます。

一番簡単な包み方は半分に折りたたむだけ。くちだけしっかり閉じておけばこの包み方でもおいしい餃子が出来上がります。変わった形の餃子を作りたい方には帽子型に包むのもおすすめです。半分に折りたたんだ餃子の端っこ同士をクルっと回してつなげるだけ。とっても簡単なのでぜひお試しください。

その他、中国でポピュラーな包み方としてはひだを全く付けずに親指と人差し指でぎゅっとつまむだけの包み方もあります。こちらは高速で包めるのでたくさん水餃子を包むときには便利な包み方です。また、「更歳交子」にちなんだ餃子の包み方もあります。こちらは餃子の真ん中でひだが交差するような包み方をします。旧年と新年が交わる様子を表しているそうです。見た目もかわいらしいので、私の好きな包み方の一つでもあります。

大きな鍋でたっぷりのお湯で茹でる

みんなで包んだ水餃子は、できるだけ大きな鍋でお湯をたっぷり使って茹でましょう。鍋のお湯が沸騰したら、餃子を手早くお湯の中に入れて餃子が鍋の底に付かないように軽く混ぜます。その後も餃子同士がくっつかないように時々軽く混ぜてください。しばらくすると餃子が浮かび上がってきます。浮かび上がってきた餃子がプクっと膨れてきたら完成です。手早くお皿に盛り付けて、黒酢などをつけて食べるのがおすすめです。
たくさん作って残ってしまった餃子は冷凍保存をしても良いですし、茹でてしまった餃子を翌日焼いて食べるというのも中国ならではの食べ方ですね。


塚田編集長の「餃子×○○」Back Number

【第1回】餃子×ビール
【第2回】餃子×夏バテ対策
【第3回】餃子×スイーツ
【第4回】餃子×きのこ
【第5回】餃子×ボジョレー・ヌーボー
【第6回】餃子×ホームパーティー
【第7回】餃子×お正月
【第8回】餃子×鍋料理
【第9回】餃子×春野菜
【第10回】餃子×新生活
【第11回】餃子×発酵食品
【第12回】餃子×海鮮

塚田 亮一(「東京餃子通信」の編集長)
2010年開設の餃子専門ブログ「東京餃子通信」編集長。
「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏はもとより、宇都宮、浜松、福島などの餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く。
これまで食べ歩いた餃子店の数は1000店以上。
長年の研究からたどり着いた手作り餃子も評判。また、趣味のマラソンを活かし、餃子専門店を走って巡る「餃子マラニック」を主催。
作って、食べて、走れる、餃界のオールラウンダー。(「食べあるキング」より引用)